太宰治とヴェルレーヌ

前回のブログでは、三鷹の風景印を紹介しましたが、太宰ゆかりの風景印がもう一つ、あります。

太宰の故郷、青森県金木局の風景印に、太宰の文学碑が描かれています。この碑は、太宰が生まれた北津軽郡金木町(現在の五所川原市金木町)にある、芦野公園の橋の袂にあります。太宰が幼少の頃、よく遊んだ公園ということです。

画像



碑は、1965年5月に建てられました。スウェーデン産の黒石に「撰ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり」と彫られています。これは、太宰の初期の作品『葉』の冒頭に掲げられたフレーズで、19世紀フランス象徴派の詩人、ポール・ヴェルレーヌの詩集「智慧」の中の一節(J'ai l'extase et j'ai la terreur d'être choisi. )の訳です。

詩集「智慧(Sagesse)」は、1881年、ヴェルレーヌが37歳の時に刊行されました。刊行当時の売れ行きはあまりよくなかったようです。ヴェルレーヌの詩は、上田敏や永井荷風、堀口大學らが翻訳し、日本人にも広く知られるようになりました。

話は逸れますが、1995年のイギリス・フランス合作映画『太陽と月に背いて』では、ヴェルレーヌと美青年アルチュール・ランボーとの破滅的な同性愛が描かれていました。ランボーをレオナルド・ディカプリオが演じていましたが、彼は当時まだ『タイタニック』に出演する前で、個人的には『ギルバート・グレイプ』での知的障害を持った少年の役柄のインパクトが強く、この『太陽と~』ではランボーのイメージに意外とマッチしているのに驚いたものです。この映画は映画館で字幕つきで観ましたが、フランスの詩人が、英語で話し、英語で詩を書くのに違和感を覚えた記憶があります。

話が横道にそれましたが、太宰はこのヴェルレーヌを堀口大學の訳で読んでいたようです。自身の生家が大地主であることから、周囲から特別扱いされることによる「恍惚」と、過剰な期待をされることに対する「不安」が、太宰の人生には常につきまとっていたのかもしれません。

参考までに、前回のブログで紹介した風景印を押印するのに使った切手は、1999(平成11)年7月1日に発行された山梨県のふるさと切手「富士五湖」の5枚セットのうち、河口湖を描いたものです。太宰が1938(昭和13)年9月13日から11月15日までの3ヶ月余りを過ごした御坂峠の天下茶屋は、富士山と、この河口湖を一望できる場所にありました。茶屋の建物は新しく建て直されているそうですが、太宰の滞在した部屋が再現されているというので、一度行ってみたいと思っています。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 脳味噌の 酩酊先に 月下美人

    Excerpt:  たまには、内省的なことではなく、評論的なことでも書いてみようと思う。気持ち悪いと思われるのに拍車がかかるから。さて、俺は太宰治が好きなんだけれど、どういうところが好きかというと、彼は戦前は自殺未遂を.. Weblog: tequila racked: 2009-09-26 21:57
  • 太宰のフレーム切手

    Excerpt: 昨年(2009年)は太宰の生誕百年を記念して、出版や映画などさまざまなメディアで太宰がとりあげられました。一般の切手のデザインには選ばれませんでしたが、フレーム切手が発行されていますので紹介したいと思.. Weblog: 切手と文学 racked: 2010-07-12 06:47