与謝野晶子と堺(4)ミュシャと晶子

JR阪和線堺市駅前に、与謝野晶子文芸館があるというので、足をのばしてみました。

駅を降りて、改札階と陸橋で繋がったベルマージュ堺というビルに向かいます。この弐番館に、堺市立文化館なる施設があり、ここに「与謝野晶子文芸館」「アルフォンシュ・ミュシャ館」が併設されています。

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文芸館は、ビルのワンフロアといったつくりで決して広くはありませんが、晶子愛用の品々や初版本、原稿など、ゆかりの地ならではの充実した展示内容となっています。生家が跡形もなく消えてしまった今となっては、晶子の生前の暮らしに思いをはせることができる、数少ないスポットと言えるでしょう。

また、市内にある晶子ゆかりの場所を写真や地図で確認できたり、受付の前のミュージアムショップでは、関西地区でしか手に入らないようなローカルな文芸誌の晶子特集などを入手することができますので、晶子の文学散歩を始めてみようという向きには、この文芸館で情報収集されることをお勧めします。

実は私も、最初に堺を訪れたときは、この文芸館だけを見学して資料を集め、その数ヵ月後にあらためて生家跡や歌碑などをめぐりました。

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この文芸館のパンフレットに、1992年発行の文化人切手「与謝野晶子」を貼り、堺市材木町の風景印(これは先日のブログで紹介したように、覚応寺にある晶子の歌碑がデザインされているもの)を押印してもらいました。このパンフレット、裏をかえすとミュシャ館の案内、というリバーシブル仕様。

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さて、晶子とミュシャ、何か共通点はあるのでしょうか。

まず思い当たるのが、時代的なものです。

1900年に開催されたパリ万国博覧会には多くの日本人が訪れ、当時絶頂期を迎えていたアール・ヌーヴォーに大きな衝撃を受けます。パリを訪れた日本人によって、ミュシャをはじめとするグラフィックデザイナーが手がけたポスターや印刷物が持ち帰られ、アール・ヌーヴォーは日本でも広がりを見せました。

1901年(明治34年)に出版された晶子の処女歌集『みだれ髪』の表紙は藤島武二がデザインしましたが、女性の横顔とハートを基調とした装飾的な表現はアール・ヌーヴォーそのものです。また、与謝野鉄寛や晶子が活躍していた雑誌『明星』の挿絵にも、アール・ヌーボーの影響が多分に見られます。

そして、このミュージアムにあるミュシャのコレクションは、堺市に居住していたある個人のコレクターの蒐集品がその基礎になっているとのことです。

そのコレクターは、「カメラのドイ」の創業者である土居君雄氏。ミュシャがあまり知られていなかった頃からその作品を蒐集、ミュシャの子息であるジリ・ミュシャとも親交を結び、彼の仲介によって多くの作品が集まったといいます。

1990年に土居氏が他界した後、コレクションの散逸を憂慮した遺族が相続を放棄して自治体に寄贈することを決めました。寄贈先には、土居夫妻が新婚時代に居住したことがある、という理由から堺市が選ばれたそうです。

堺という街を介した、与謝野晶子とミュシャの浅からぬ縁、とでも言いましょうか。

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この記事へのコメント

2010年01月08日 16:53
与謝野晶子の切手があるんですね。
堺には一度、行ったことがありますが、此処は知りませんでした。
2010年01月16日 06:31
>桃源児さま

コメントありがとうございます。
与謝野晶子の切手はもう一枚、あります。
いずれ紹介いたします。

堺には、晶子ゆかりの場所が意外と多く残されていると感じました。そのうちまた足を運んでみたいと思っています。

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