戦前の東京駅と路面電車

現在、東京駅の丸の内駅舎が創建当時の姿によみがえりつつあります。2007年に復元工事が始まり、完成は2012年春とのことです。かつて存在したドームの丸屋根が再現されるなど、かなり大掛かりな工事が続いていますが、その往年の姿が偲ばれる絵はがきを紹介しましょう。

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絵はがき二枚を横に繋げた、パノラマ式の絵はがきです。「東京名所 東京駅」とあります。右端に見えるのが丸ビル、左下に別枠で出ているのは海上ビルです。

東京駅丸の内駅舎は、1914(大正3)年に創建されました。設計は、日本銀行本店なども手がけた辰野金吾。創建当時は東京中央停車場と呼ばれ、丸いドーム屋根を持つ三階建てで威容を誇っていました。レンガを用いて赤と白のコントラストを生かしたデザインは、他の辰野作品にも見られる特徴です。1945(昭和20)年4月25日の東京大空襲でそのドームと屋根、内装が焼け落ち、戦後、屋根は三角屋根に付け替えられていました。

この絵はがきでは、その創建当時の丸いドーム屋根がはっきり見えます。手前には路面電車が何台も行きかい、高層ビルに囲まれてしまった現在とは違って、東京駅の建物の存在感がかなり大きかったことが伺えます。

駅の背景には高い建物は見当たりませんが、駅舎の向こう側、右手に見える煙突から煙が出ているのが見ええます。何かの工場があったのでしょうか。よく見ると、左手にも煙突らしきものが二本ほど、突き出しています。

ちなみに、この絵はがきの表面はこんな感じです。左右独立して差し出せるようになっていますが、別々の相手に出すわけにもいきませんので、記念品として保存されることを意図して作られた絵はがきと言えるでしょう。

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もう一枚、今度はもう少し低い位置から眺めた東京駅を見てみましょう。

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こちらには、よりはっきりと路面電車の姿が見えます。駅前のロータリーにはボンネット型の自動車が整列していますが、これは客待ちのタクシーでしょう。周囲に建物がないため、駅舎の二つのドーム屋根の存在感が際立っていますが、現在の復元工事が終わったあとの光景と比べてインパクトがどのように違うのか、気になるところです。

そしてもう一枚。こちらは歩く人の目線から眺めた東京駅です。

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ボンネット型の自動車はタクシーでしょう。その後ろに、白い服の車夫が引く人力車も見えます。人力車とタクシーの客引き合戦が展開されていたのかもしれません。そういえば、私の地元を走る江ノ電(明治35年開業)も、計画当初は人力車の組合から江ノ島に向かう観光客が奪われる、と抗議を受けたそうです。これらの絵はがきからは、大正から昭和にかけて、人々の移動手段が劇的に変わりつつあった次代背景を見て取ることができ、興味はつきません。

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