啄木と札幌(2)玉蜀黍(とうもろこし)のにおい

昨日(10月3日)、北海道各地で初雪が観測されたそうです。旭川市では平年より20日も早い初雪、これはなんと日本の観測史上で2番目、実に113年ぶりの早さということです。二ヶ月前に帰省した折に旭川にも足を延ばしましたが、その時は30度を超える暑さでしたから、その気温の変化に驚かされます。

すっかり秋を通り越してしまった感のある北海道ですが、啄木が滞在した二週間(明治40年9月14日から27日)はまだ秋の気配が色濃く残る涼しげな気候だったようです。前回に引き続き、札幌大通公園にある啄木の座像と歌碑について、詳しく見ていきましょう。

この座像は、啄木没後70年を記念して、昭和56(1981)年に建てられました。歌集『一握の砂』には、明らかに札幌をテーマとした歌が4首、採録されていますが、そのうちの一首が歌碑に刻まれています。

しんとして幅廣き街の
秋の夜の 
玉蜀黍の焼くるにほいよ

1871年(明治4年)、札幌に北海道の中心都市を建設するにあたって、官公庁が並ぶ地域と民地を分ける都市計画が立案されました。その二つの地域の境目に、大火の延焼を防ぐためにもうけられた火防線が、今の大通り公園のはじまりです。幅は105メートル(58間)あり、当時の日本でも常識を超えた幅だったようです。

また、何もない平原に区画された町ですから、道路もゆったりと幅をとって整備され、函館の町並みを見慣れていた啄木にとっては、「幅広き」町と映ったことでしょう。

碑の台座の左側面には、二つの文字板がはめ込まれていました。そのうち上にある文字板には啄木が札幌の町について記した一文が記されています。

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「札幌は寔まことに美しき北の都なり。初めて見たる我が喜びは何にか例へむ。アカシヤの並木を騒がせ、ポプラの葉を裏返して吹く風の冷たさ。札幌は秋風の国なり、木立の市なり。おほらかに静かにして、人の香よりは、樹の香こそ勝りたれ。大なる田舎町なり、しめやかなる恋の多くありさうなる郷なり、詩人の住むべき都会なり。」

これは、啄木が「北門新報」に載せた記事『秋風記』の中の一節です。わずか二週間しか滞在しなかった札幌ですが、印象は良かったようですね。実際に啄木自身に「恋」が訪れたのかどうか、いまでは想像するしかありませんが、札幌を故郷とする者には、啄木に「詩人の住むべき都会」と賞されたことが、ちょっと嬉しくなります。

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下の文字板には、啄木と札幌のかかわりや、この銅像が立てられた経緯などが記されています。建立日は、昭和56年9月14日、啄木が初めて札幌の地に足を踏み入れた日となっています

歌碑の裏面には、「石川啄木像建立協賛者御芳名」として、協賛企業がずらりとならんでいますが、1997年に経営破綻した北海道拓殖銀行(拓銀)の名前が筆頭に見えるのが、歴史の流れを感じさせます。

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実はこの像が設置されている大通り公園の西三丁目、すぐ後ろはかつて拓銀の本店があった場所。拓銀が最大のスポンサーだったため、この場所が選ばれたのかもしれません。

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大通公園では、今も玉蜀黍(とうもろこし)を焼いたりゆでたりして、ワゴンで販売しています。とうもろこしは、北海道では「とうきび」という言い方の方がなじみがあります。

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これは昨年夏の写真ですが、焼きとうきび、ゆでとうきびともに一本300円でした。この値段設定は、わたしが子供の頃から変わっていないような気がします。今は、とうきびの他に、茹でたジャガイモにバターをのせた「じゃがバター」なども同じ屋台に並んでいます。

焼きとうきびを一本買い、啄木と一緒に写してみました。たっぷり塗ったしょうゆが垂れてしまうので、とうきびは袋に入れて販売されています。

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明治40年当時もすでに同じように屋台のとうきび売りが並んでいたのでしょう。このとうきびの屋台、札幌近郊の平岸村の農家の人たちが大通にやってきて始めたとも言われていますが、その香ばしい香りは啄木の記憶にも鮮明に残っていたようです。

ところで、『一握の砂』には、新聞に初雪の便りを書いた自身の経験を歌った一首もあります。

かの年のかの新聞の
初雪の記事を書きしは
我なりしかな

「かの年」というのは、啄木が北海道に滞在していた明治40年でほぼ間違いありませんが、9月27日には札幌を離れて小樽に移っていますので、「かの新聞」は小樽日報のことでしょう。この歌からわかるように、歌そのものは後年、北海道漂泊時代を回想して詠んだものですが、北海道で初雪が降ったとのニュースを耳にして、ああ、もうそんな時期なんだな、そういえばあの頃、俺は小樽で初雪を見たなあ、などと季節の移ろいを感じた啄木の郷愁が伝わってくるようです。



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