福岡市文学館の内部見学

先日のブログで紹介した福岡市文学館。明治42年2月に竣工した当時は、日本生命保険株式会社の九州支店として利用されていたこの建物、アール・ヌーボー調の階段手すりやカーテンを始めとする内装の大部分が建築当時の仕様に復元されており、一見の価値ありです。一階にある文学館の展示室は前回紹介しましたので、今回は二階にある部屋を見て行きましょう。

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上の写真は会議室。二階にある四つの部屋の中で一番広い空間です。正面の壁には暖炉が設置されていますが、部屋全体を暖めるにはちょっと小さい気もします。装飾としての役割の方が大きかったのかもしれません。

一階から二階にあがる空間は吹き抜けになっており、階段室の端にはさらに塔屋へ登るためのらせん階段も見えます。決して広い空間ではありませんが、縦に抜ける立体的なつくりが近代建築ならではの風格を感じさせます。

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二階には、「診査室」と「医員室」と名づけられた部屋がありました。どちらも、医療に関係のある部屋です。下の写真が診査室です。

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解説板によると、この建物を保険会社が利用していた当時は、外部より医者を招き、保険に加入する顧客の健康状態をこの部屋で診察していたそうです。

当時、上水道が整備されていなかった福岡では、衛生状態の悪化から伝染病が頻繁に流行し、保険の加入にも事前診察が需要な役割を負っていたとのことです。

保険に加入する際に、加入者自身が告知するのではなく実際に医者が確かめることで、保険会社も防衛をはかっていたということでしょうか。

そしてこれが診査室の隣にある医員室。

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立派なカーテンなどの内装は医師の格式を示すのに一役買っていたのかもしれません。

ちなみに、これらの部屋は現在貸し会議スペースとして実際に使われているようで、置かれているテーブルや椅子は、そうした会議のための実用目的のもののようです。

ところで、これらの各部屋の窓は縦長ですが、洋風建築の窓はたいていこのように縦に長いつくりになっています。これは、主に柱で屋根からの重さを支える和風建築と違って、洋風建築は壁で屋根や床の荷重を支えているので、あまり幅の広い窓をとることができない、という構造上の理由によります。特に照明器具が発達していない近代では、室内の採光は窓から入る自然光が頼りでしたので、できるだけ縦に長い窓を設置して、採光に気をくばっていたようです。

また、この縦型の窓は上げ下げ式になっており、見た目以上にスムーズに動かすことができるとか。これは、窓枠とガラスをあわせたものと同じ重量のオモリを窓枠の内部に垂らし、滑車でバランスをとることによって、円滑に上げ下げできるように工夫してあるからだそうです。この仕組みは現在でもエレベーターなど暮らしの中に生かされているとのことです。

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赤レンガと白い花崗岩をあしらった外観は、設計者である辰野金吾がロンドンに留学していた当時、19世紀のイギリスで流行していたクイーンアン様式を応用したもので、「辰野式」と呼ばれています。同じ辰野金吾が設計し、現在改装工事中の東京駅にも同じ特徴が見られますね。

文学だけではなく、建築についてもいろいろ勉強になる文学館でした。

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