実篤記念館「本の美 ~装幀と挿絵~」展を見てきました

皆様、あけましておめでとうございます。いつも本ブログにおつきあいいただき、ありがとうございます。

昨年9月以降、業務多忙のため更新ままならなかったブログも、年が改まったのを機会に再開したいと思います。まずは昨秋に訪問したいくつかの企画展から、調布の武者小路実篤記念館で開催されていた「本の美 ~装幀と挿絵~」展について、紹介いたします(企画展の開催期間は2012年10月27日~12月2日、訪問日は11月24日)。

武者小路実篤記念館は、京王線仙川駅から徒歩で10分ほどの場所に位置する実篤の旧居に隣接して建っています。今回は別件もあったため、小田急線成城学園前駅から徒歩で記念館に向かいました。道沿いには、記念館までの距離を示した看板がいくつも立っていました。
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記念館そばの掲示板に、企画展「本の美」のポスターが見えます。
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記念館は住宅地の中に建つ近代的な建物です。標識は実篤の直筆をアレンジしたもののようです。
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記念館の入り口右手にある受付で、入館料200円を払います。ロッカーはありませんが、この受付で荷物を預かってもらえまえす。記念品などもこの受付で販売しています。
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武者小路実篤の著作をはじめ、雑誌『白樺』の装幀と挿絵は、実篤と親交の深かった岸田劉生や梅原龍三郎、河野通勢、中川一政など、日本の近代美術を代表する画家が手がけていました。今回の企画展は、これらの原画や岸田劉生の書簡などを一堂に集めたものです。

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岸田劉生といえば、娘の麗子をモデルとして描いた一連の「麗子像」で有名ですが、その書簡に触れる機会はあまりないと思います。今回は劉生が実篤に宛てて書いた葉書の実物が数多く展示されており、興味深く拝見しました。

著作の装幀の依頼を受けた劉生が大正9年2月3日に実篤にしたためた返信には、「君の本の表紙をかく事は君と同日に生きる事の出来た喜びと光栄の一つだからどうぞ遠慮しないでくれ給へ」とありました。実は劉生は実篤よりも6つ年下ですが、手紙では同年代の友人に宛てたような口ぶりで、劉生の自信のほどがうかがわれます。

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劉生の挿絵には、幾何学文様や麗子像を思わせる唐風の少女など、自身の油絵や日本画の作風が反映されているように見えます。ところで、画家の仕事として、油絵などの単独の絵画と雑誌の挿絵、どちらが主になるものなのでしょうか。画家によって状況は異なると思いますが、劉生の場合は、どちらの創作活動も相互に補完し合っていたようです。

劉生は『劉生図案集』という著作の中で、「図案といふものを必ずしも余技としてゐない」「自分は装幀図案をする事によつて思はぬ美を知り、思はぬ美を生む事を出来た事、延いて自分の仕事の上に大変利益が多かった」と述べています。

一見、関連性のない仕事に思えても、意外なところで本業に生きてくる、という例は、どんな仕事にも当てはまるものがありそうです。

活字に触れる機会のほとんどがパソコンや携帯のディスプレイになりつつある現在では書物を五感で楽しむ機会が減っていますが、芸術家が装幀に趣向を凝らし、作家と協業しながら一つの書物を「作品」として造り上げていた時代があったことは忘れずにいたいものです。

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  • 武者小路実篤の旧居を訪ねて

    Excerpt: 昨日ブログで紹介した武者小路実篤記念館は、実篤の旧居敷地に隣接して建っています。記念館訪問にあわせて、旧実篤邸も見学してきましたので紹介しましょう。 Weblog: 切手と文学 racked: 2013-01-06 10:47