漱石の作品といえば

漱石の作品を思いつくままにあげよ、と言われて、皆さんはいくつ思い浮かべることができるでしょうか。読みやすい文体で人気の「坊っちゃん」、高校の教科書にも採録されている「こころ」などはすぐ出てきそうです。ちなみに、私が高校時代に使っていた国語の教科書には、「文鳥」という小品がとりあげられていたのを覚えています。

その他にも、「三四郎」や「それから」「門」「我輩は猫である」「草枕」「虞美人草」などなど、読んだことはなくても、タイトルだけは知っている、という作品まで含めれば、誰もがすぐ、二、三はあげることができると思います。

さて、1999年から発行が始まった20世紀シリーズの第1集には、漱石をテーマにしたデザインが二種、登場します(画像)。漱石の初期の代表作として、「我輩ハ猫デアル」と「坊っちゃん」が選ばれました。

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このシリーズは、20世紀を代表する題材を人気投票をもとに選定したものですが、当の漱石は20世紀が始まった頃、いったい何をしていたのでしょうか。

実は、1900年(明治33年)5月、漱石は文部省より英文学研究を目的としたイギリスへの留学を命ぜられています。当時、漱石はまだ作家ではなかったのですね。留学への旅の途上で、パリ万国博覧会を訪問したりもしています。

1905年(明治38年)、神経衰弱に悩まされていた漱石は、高浜虚子から小説を書いてみることを勧められます。試しに書いてみたのが「吾輩は猫である」でした。これを雑誌『ホトトギス』に発表したところ、思いのほか好評で、当初一回きりの予定だったものを連載化することになりました。

さて、一枚目の切手に描かれているのは、橋口五葉のデザインした「我輩ハ猫デアル」の初版本表紙の題字と扉絵の一部分です。また、二枚目には、『鶉籠(うずらかご)』の表紙絵と題字「坊っちゃん」をアレンジしています。

『鶉籠』は、1907年(明治40年)1月に刊行された漱石の中短編集で、それまで『ホトトギス』に発表した「坊っちやん」や、雑誌『新小説』に発表した「草枕」などを収めたものです。

漱石の作家活動は、1916年(大正5年)の死去によって終止符が打たれます。わずか10年足らずの作家活動でしたが、20世紀の幕開けを代表する人物として、シリーズのトップバッターに漱石が選ばれたことは、文学ファンとしては嬉しいことです。


ちなみに、このシリーズは各集が10枚一組でセットになっていますが、使われるハト印は、各集で手押し用と機械用が各一種類でした。下の画像は、第1集の発行日に使用された絵入りハト印(上:手押し/下:機械)です。手押し印のデザインは各集で共通、機会印のデザインを、各集の代表的な題材にあわせて変更する、という方針でした。


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漱石の写真をアレンジした機械ハト印は、「我輩ハ猫デアル」や「坊ちゃん」の切手に押印すれば見てくれも良いですが、同じ第1集の、川上音二郎や日露戦争にこのハト印では、なんだかアンバランスですね。

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この記事へのコメント

2009年05月10日 02:58
漱石らしい姿が味わえますね。
higu
2009年05月15日 19:11
お久しぶりです。覚えていらっしゃいますか?
漱石は大学生時代に好きでよく読みました。
2009年05月16日 17:22
>sisiさま
コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

>higuさま
もしかして高校の同級でしょうか?覚えてますよ。お元気ですか?
higu
2009年05月16日 17:37
そうです。あの頃が懐かしいですね。あの後2回、ばったりお会いしたことは覚えていますか?不思議な偶然でしたね。私は今は札幌に住んでいます。小3と小1の娘がいます。ざわさん(なつかしいいいいい)はお元気ですか?
2009年05月18日 04:35
ざわさん、懐かしい響きですね!札幌駅と北大でばったり会いましたね。私も今や一児の父、今は神奈川在住です。
higu
2009年05月18日 14:48
そうですか。お元気そうでなによりです。北大構内も当時に比べ大分様変わりしました。時の経つのは速いですね。コメント欄を私信に使ってしまってごめんなさいでした。また時々ブログ見に来てみます。頑張ってくださいね。
2009年10月17日 01:52
池澤様
はじめまして。今度、風景印の本を出版したので、トラックバックをさせていただきました。
私も趣味は文学と風景印で、池澤さんのブログを拝見して、こういう記事、大好きだなあと1人で喜んでしまいました。
私が一番好きなのは夏目漱石なので、拙著の中でも漱石にまつわる風景印に触れています(他にも松尾芭蕉、樋口一葉などなど)。もし機会があれば、お手にとってみていただけると嬉しいです。
こちらのブログも楽しみにしています。またアクセスさせていただきますね。
2009年10月30日 05:52
古沢さま

コメントありがとうございます。

古沢さまが以前出版された風景印の著書は読ませていただきました。

社会人をやっていると、なかなか平日の郵便局めぐりはできませんが、地方に出張に行った折などは、密かに風景印を探すのが楽しみだったりします。

今仕事で上海に来ており、なかなかブログも更新できませんが、今後ともよろしくお願いいたします。
2009年11月11日 01:38
池澤さま
遠く上海からお返事ありがとうございます!
前の著書もお読みいただいたそうで、重ねがさねありがとうございます。
私の周りでも、出張⇒風景印と思考が飛ぶ仲間がいます(笑)。
でもそうした行動記録にもなるから、スタンプ趣味はいいですよね。
お身体にお気をつけて、お仕事がんばってください。こちらこそ、よろしくお願いします。

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