島崎藤村の旧居探訪 大磯編(2)

前回に引き続き、大磯にある島崎藤村の旧居を紹介したいと思います。今回は、建物と庭を見ていきましょう。

低い門をくぐり、母屋沿いに延びる飛び石を歩いていくと細い格子戸の正面玄関が見えてきます。建物保護のため、一般の見学者は内部に入ることはできませんが、書斎や広縁をめぐらせた居間を庭から眺めることができます。

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四畳半に押入れと床の間がついた簡素な書斎には、小さな文机が置かれていました。藤村はここに庭を正面に見て座り、執筆を行なっていたようです。文机の脇の火鉢には鉄瓶が置かれています。冬はこれで暖をとっていたのでしょうか。ちょっと寒そうです。

解説員の方の話によると、書斎の欄間に掲げられた「名月」の書は藤村の妻が書いたもので、そのやさしい筆致を藤村は終生愛していたそうです。ただし、ここに残っているのは複製品とか。

書斎の小窓には、木の枝を格子状に組んで蔓で結わえてあります。そこから中を覗いたのが下の写真。

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間取りは和室六畳に四畳半の書斎、八畳の居間とそのまわりに広縁、というコンパクトな造作ですが、風通しもよく、大磯の温暖な気候にはちょうどよさそうです。

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案内のパンフレットから、昭和18年ごろの間取りを見てみましょう。

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藤村は、ここを「静の草屋」と称し、静子夫人と簡素な生活を送りました。絶筆『東方の門』は、ここで執筆されましたが、未完に終わっています。

広縁に飾ってある2枚の写真は、藤村が亡くなった日に撮影したものだそうです。今も、庭の景色は当時とあまり変わっていないように見えました。

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庭のあちこちで草花が咲き、南天の実が色づき始めていました。この家の主が生きていた頃と同じ光景が、今でも毎年繰り返されているのでしょう。

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庭の草花や木々を間近に眺めながら、静かに執筆を行なうことができるこの環境は、作家にとって理想的な空間のように思えます。

建物の向かいには、小さな公園があり、ゆっくりくつろげるようになっています。この周辺には駐車場がないのでちょっと不便と感じる人もいるかと思いますが、静かな町並みを抜けて歩いて訪れるほうが、藤村の生きた時代に近づけることができるかもしれません。

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公園の前にある解説板です。
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なお、島崎藤村の墓は、これも大磯駅からほどちかい地福寺というお寺にあり、これは8月に参拝した時のことをブログでも紹介しました。

http://ikezawa.at.webry.info/201009/article_1.html

大磯駅から藤村邸への道で見かけたマンホールのふたです。大磯をイメージしたデザインで、カラーというのがしゃれていますね。

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大磯駅前に「地場屋ほっこり」なる地元産の物産を扱う店があり、そこで湘南大磯の地酒「国府郷(こうのさと)」を購入。発売元は大磯町国府新宿の吉川酒店。神奈川ではあまり地酒というものは聞きませんが、捜せばあるものですね。文学散歩のついでに、その土地の酒を味わうというのも、また旅の楽しみでもあります。

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