小諸に藤村の足跡を訪ねて(3)椰子の実と藤村

小諸の懐古園には、藤村の詩碑が二つあります。今回はその一つ、藤村記念館の前にある「椰子の実」の詩碑を紹介したいと思います。

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明治31年、松岡國男なる23歳の青年が渥美半島の伊良湖岬を訪れ、夏の間一ヵ月半ほどをここで過ごしました。この青年が、後の民俗学者柳田國男です。恋路ヶ浜で國男青年は浜辺に流れ着いた椰子の実を見つけ、この話を東京に戻ってから、友人であった藤村に話しました。

柳田國男は今でこそ、日本の民俗学の開拓者としてその名を知られていますが、青年時代は詩人をめざし、藤村と同様、『文学界』や『国民之友』『帝国文学』などに詩を投稿していました。1897年(明治30年)には、田山花袋や国木田独歩ら6人で合同詩集『抒情詩』を出版するなど、精力的に活動しています。

さて、國男青年から、浜辺に流れ着いた椰子の実の話を聞いた藤村は、そこからイマジネーションを膨らませ、詩『椰子の実』を書いたといわれています。詩は全体で7連ありますが、詩碑には前半の4連のみが刻まれています。

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名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の實一つ

故郷の岸を離れて
汝はそも波に幾月

舊の樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる

われもまた渚を枕
孤身の浮寢の旅ぞ

實をとりて胸にあつれば
新なり流離の憂

海の日の沈むを見れば
激り落つ異郷の涙

思ひやる八重の汐々
いづれの日にか國に歸らむ


この詩は、藤村が小諸滞在中の明治33年6月号の「新小説」に発表され、明治34年8月に刊行された詩集『落梅集』に納められました。浜辺に流れ着いた椰子の実には、遠く都から離れて小諸に赴いた藤村自身の姿が重なります。藤村にとっては、人生そのものが漂白の旅だったと言えるでしょう。

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この詩碑は比較的新しく、表面も鏡のようにツヤツヤしています。裏を見ると平成二十年に建てられたことがわかりました。平成の世になっても、明治の文豪の詩碑が新たに建てられているということに、ちょっと驚きましたが、文学と言うものはそれだけ時代を越えて語り継がれるものだということの証でもありますね。


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